性感染症が気になる方

ヘルペスについて

ヘルペスってなに?

ヘルペスは、ウイルスによる感染症です。
「ヘルペス」と聞くとこわい病気のように思えるかもしれませんが、誰もが感染している一般的なウイルスです。
ヘルペスウイルスによる代表的な病気に、口唇ヘルペス、性器ヘルペス、水ぼうそう、帯状疱疹(たいじょうほうしん)があります。 「ヘルペス」とは、水ぶくれが集まった状態のことをいいます。これは、「ヘルペスウイルス」による感染症で、人間に感染するヘルペスウイルスは 8 種類が知られています。
感染するウイルスにより症状はさまざまで、代表的な病気に、「単純ヘルペスウイルス」による口唇ヘルペス、性器ヘルペス、「水痘・帯状疱疹 ウイルス」による水ぼうそうや帯状疱疹があります。
また、単純ヘルペスウイルス 1 型には 50 ~ 70%、2 型には 5 ~ 10% の日本人が感染していると言われています。 ヘルペスウイルスは、感染していても普段は症状が出ない人も多いのです。

口唇ヘルペス性器ヘルペス

性器ヘルペスについて

性器ヘルペスの症状

初めての場合(初発)

GH(性器ヘルペス)は、性器やお尻の周辺に水ぶくれができる病気です。 性的な接触によってウイルスが感染する、性感染症の一つです。
GH(性器ヘルペス)の症状は、性器に赤いブツブツや水ぶくれ、かいよう(皮膚のただれ)ができます。 はじめてかかったときには強い痛みや発熱を伴うことが多いのに対し、再発の場合は小さな水ぶくれや かいようができるだけの、軽い症状ですむことが多いです。

女性発症部位 外陰、膣の入り口とお尻にみられます。患部は子宮頸部に及ぶこともあります。
男性発症部位 亀頭(ペニスの先端)、包皮、陰茎体部、お尻に最もよくみられます。

他に、多くはありませんが、男女ともに肛門、太ももにみられることもあります。

 

性器ヘルペスの症状

1 感染の機会から2~11日を経て発症する。
2 全身倦怠感、発熱(37〜39℃)がある。
3 性器に多く水疱ができて、その後、潰瘍となる。
4 排尿や歩行が困難になるほどの激しい痛みがある。
5 鼠蹊リンパ節が腫れて痛みがある。
6 潰瘍はしばしば左右対称にあらわれる。

セックスなどで感染してから 4 ~ 10 日の潜伏期をおいて発症し、38°C以上の発熱がみられることもあります。 急に感染部位に痛痒さを感じます。感染部位に最初は水ぶくれができ、間もなくつぶれて、かいよう性の(ただれたようになる) 病変がたくさんできます。女性では、とても痛くて排尿ができないほどになります。
脚のつけ根のリンパ節(ぐりぐり)がはれて痛くなります。
女性の場合、ヘルペスウイルスの冒す範囲は、外陰部だけでなく、膀胱や子宮などにも及びます。
ときに、このウイルスは髄膜にまで達して髄膜炎を起こすことも知られています。
こうなると、とても強い頭痛がし、尿が出なくなります。
何の治療もしないと治るまでには 3 週間かかりますが、きちんと治療すると 1 週間くらいで治すことができます。

妊娠や出産への影響は?

GHに感染していても妊娠・出産はできます。

ヘルペスが不妊の原因になることはなく、妊娠や出産も可能です。

妊娠中にGHにかかっても奇形児が生まれることはほとんどありません。
ただし、出産時に胎児が産道にいるヘルペスウイルスに感染すると、新生児ヘルペスになってしまいます。抵抗力の無い新生児がヘルペスに感染すると重病になりやすく、注意が必要です。万一、お産の時にヘルペスができていたら、帝王切開で出産するといった方法をとることも考えなければなりません。無事に妊娠や出産をするためにも、産婦人科の主治医に病気のことをきちんと伝えて下さい。

ふたりでできる予防法

●コンドームを使いましょう。
●GHの症状が出ている期間はセックスを避けましょう。
●おしりやももなどに症状がみられるときもなるべくセックスを控え、
 直接触れないように注意しましょう。
●口唇ヘルぺスをもっているパートナーとのオーラルセックスは避けましょう。

大切なことは正しい病気への理解と情報の共有です

患者さんからパートナーのあなたに告白があったら、まずは話をよく聞いてあげましょう。GHに対する間違った情報が原因となり、二人の関係に溝ができることを避けてください。相手がGHと診断されたからといって、あなたに不誠実というわけではありません。場合によってはあなたからうつされてしまったということもあるのです。GHの患者さんは、自分が感染していることに気づいていない場合もあるのですから。

あなた自身のために

あなたのパートナーに症状が出ている間は、感染リスクが高いため性交渉は控えてください。また、器物を介して感染することもありますのでタオルの共用などは避けるようにしましょう。
もし、あなた自身も感染が気になるようなら、受信して血液抗体検査で感染しているかどうかを調べることができます。

性器ヘルペスは再発することがあります

ひどい症状の初感染が治ってからしばらくして(1 ~ 12 ヵ月くらい)、再び感染部位に病変をつくることがありますが、多くの場合、 初感染のひどい症状を経験しないで軽い再発の症状から始まります。再発の症状は軽く、痛みもあまり強くはありません。

一般的には小さいかいようや水疱が数個できる程度ですが、ときには、ややひどい症状となることもあります。再発する前に神経痛のような症状が出たり、局所に違和感(ムズムズするような感じ)を感じることもあります。

再発は、体の奥に潜んでいたヘルペスウイルスが、いろいろなきっかけで暴れ出すものですから、この場合は他人からうつったものではありません。心身の疲労や、女性では月経前に再発することが多いようです。

 

単純ヘルペスウイルス 2 型にかかったときは 1 年以内に 8 割以上が再発しています。1 型にかかったときは 2 割くらいのようです。 再発の頻度は 1 ヵ月に何回となく再発する人もいますが、年に一度くらいの人もいます。 症状があったら、お医者さんに行って正しく診断してもらいましょう。

再発の主なきっかけ

免疫力の低下や局所的な損傷などが再発の引き金となります。

(例)
・疲労
・他の性器感染症(局所の皮膚領域を冒す)
・月経前
・アルコール多飲
・強い日光への曝露
・免疫低下状態(体の免疫が正常に機能しない状態)
・長時間のストレス
・紫外線
・セックスによる皮膚の摩擦や損傷など

長時間のストレスが度重なる再発を引き起こすことがあります。
再発した結果としてストレスや不安を経験することもよくあります。

性器ヘルペスの感染原因

GHの原因である単純ヘルペスウイルスには1型と2型の2種類あり、主に下半身に症状が出るもの(GHを引き起こす2型)と、口唇や顔面など上半身に症状が出るもの(口唇ヘルペスを引き起こす1型)があります。

GH(性器ヘルペス)は人との接触によって感染します。その原因は、ヘルペスウイルスの一種、単純ヘルペスウイルスにあります。
感染しても症状が出ないこともあり、感染に気づかない人もいます。症状のあるときはもちろん、ないときでも、ヘルペスウイルスが性器の
表面に出てきていることがあり、他の人にうつる可能性があります。GHは接触によってうつります。

初感染の場合は、主に性行為でうつります。風邪などのような飛沫感染ではありません。セックスの相手の性器にできていたヘルペス(単純ヘルペスウイルス2型が多い)が主な原因となります。また、口唇ヘルペスのウイルス(単純ヘルペスウイルス1型が多い)が性器に感染し、GHを発症することもありますので、口唇ヘルペスを発症している場合は、オーラルセックスは避けましょう。

自分の口唇ヘルペスを手でさわるなどして性器にうつしてしまうことも、ときにはあります。
ウイルスがついたタオルや西洋式便座でうつることがありますが、お風呂などからうつることはほとんどないと考えられます。
症状が出ていなくてもパートナーにうつる可能性があります。

症状が出ていないときでも、性器の皮膚や粘 膜にウイルスが出てきている場合があります。実際には、パートナーへの感染は、このようなときに
起こることが多いようです。アメリカでの調査によると、 パートナーへのGH感染の約7割は、感染源となった方に症状の自覚がないときに起こっ
ていました。

性器ヘルペスの治療法とお薬

潜伏するヘルペスウイルスまでは現代医学をもってしても退治することはできません。でも、暴れているウイルスの増殖を抑えたり、あらわれて
いる症状を抑えたりすることはできます。症状が出てしまった場合には、適切な処置をするのが早ければ早いほど、症状はそれだけ軽くすみますし、
回復も早くなります。
また、GH(性器ヘルペス)は再発を繰り返すのが特徴で、患者さんは症状の辛さに加え、「いつ再発するかわからない」、「パートナーにうつして しまうかもしれない」などの不安も感じています。この繰り返す再発に対し、毎日お薬を飲んで、症状が現れる前にウイルスの増殖を抑えられるようにする治療法もあります。
はじめて GH(性器ヘルペス)にかかった場合、患部の痛みが激しく排尿もできないほどであったり、頭痛や高熱が続くなど全身的な症状があるときには、医療機関(病院や医院)に入院して治療することが必要です。

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治療薬について

GH(性器ヘルペス)の治療には、主に「抗ヘルペスウイルス薬(=抗ヘルペスウイルス剤)」と呼ばれるお薬が使われます。
抗ヘルペスウイルス薬は、ウイルスが増えるのを抑える働きがあります。

GHの治療に用いられる抗ヘルペスウイルス薬の種類には、飲み薬(錠剤または顆粒)、塗り薬(軟膏またはクリーム)があり、症状が出ている場所や
程度などにより使い分けられています。また、この他に入院治療の際に点滴が用いられることもあります。

お薬の一般名 剤形 症状があるときの標準的な使われ方
バラシクロビル 錠剤・顆粒 1回1錠または顆粒1gを1日2回、5日間服用する。(成人)
アシクロビル 錠剤・顆粒 1回1錠または顆粒0.5gを1日5回、5日間服用する。(成人)
軟膏・クリーム 患部に適量を1日数回、7日間塗布する。
ビタラビン 軟膏・クリーム 患部に適量を1日1~4回、7日間塗布または貼付する

※症状の程度などによって、お薬の量や服用回数・日数が変わることがあります。

口唇ヘルペスについて

治療薬について

くちびるの周りに赤い水ぶくれができ、かゆみや痛みが気になる・・・。
疲れやストレスがたまって体が弱っているときに決まって繰り返す・・・。
これが口唇ヘルペスの一般的な症状です。
早めの治療で、気になる症状も早くよくなります。


口唇ヘルペスの感染原因

単純ヘルペスウイルスは人から人への接触感染によってうつります。
ただし、感染するのはおもに症状が出ているときだけで、ウイルスが神経節に潜伏しているときに感染することはほとんどありません。
水ぶくれができる頃、その水ぶくれの中には大量のウイルスが増殖しています。患部を直接手で触れたり、キスや、発症中の人が使ったグラス
やタオルから感染します。
感染を防ぐには、まずは水ぶくれを破ったりさわったりしないことです。もし、患部をさわった場合は、すぐに手を洗ってください。 また、感染時に使ったタオルは、ほかの人と共用しないで、よく洗って日光でしっかり乾かしましょう。グラスや食器も専用のものを使い、 使用後は洗剤できれいに洗いましょう。

口唇ヘルペスの治療法とお薬

口唇ヘルペスの治療には、主に「抗ヘルペスウイルス薬(=抗ヘルペスウイルス剤)」と呼ばれるお薬が使われます。 抗ヘルペスウイルス薬は、ウイルスが増えるのを抑える働きがあります。
口唇ヘルペスの治療に用いられる抗ヘルペスウイルス薬には、飲み薬(錠剤または顆粒)、塗り薬(軟膏 またはクリーム)があり、効果と使いやすさを考えて症状に合った抗ヘルペスウイルス薬を選択し、 その他の状況に応じて痛み止め、ビタミン剤、抗生物質などで治療します。
口唇ヘルペスの症状が出たら、早い時期に治療を始めるほうが治りも早くなります。
再発を繰り返す人、あるいは海やスキーに行くと必ず再発するというような人は医師に相談して、再発の
きざしがあったらどのような処置をすべきかについて指導を受けておくとよいでしょう。
症状に悩まれている方は、まずは来院の上、お気軽にご相談下さい。

当院の取り組み

これらは当院で作成、監修した患者向け、または医療者向けの教材やパンフレットで、全国の医療機関に配布されています。当院は、日本でも数少ないヘルペス(性器ヘルペス)の臨床研究機関でもありヘルペスの新薬の治験や新しい診断法の開発をおこなってきました。
再発をさせないための再発抑制療法の治験等にも協力しておりましたので、再発等にて悩まれている方またパートナーなどへ移してしまうなど心配されている方は、来院の上、お気軽にご相談下さい。